仕事が昇り調子に好調なとき、大きなプロジェクトをやりとげたとき、「疲れも吹っ飛ぶ!」とか、そもそも「疲れも感じない!」とか思うこと、ありませんか? 実はそれ、ものすごくキケンなんです! 人間の脳には、やりがいを感じるとき、ドーパミンというホルモンをドバドバ出して、疲労感をマヒさせてしまう機能があります。そのせいで、本当は疲れているのに知覚できず、体がダウンしてから自覚するーそんな人が実は多いんです。
なんやかんや言って仕事が好き、期待されていると感じると燃えてしまうーそういう人にこそ知って欲しい、脳疲労のサイン。今回は、自覚なき疲労の恐ろしさと、「飽きた」と感じることの大切さをレクチャーします。
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「自分は、体力ある方だから…」「まだ若いから大丈夫」、そう思っている人はいませんか? 実は、それってとてもキケン! 人間の脳は起きているだけで、情報を集め処理してフルに稼動しています。ましてや仕事をしていたら、脳は疲れて当たり前。だから「仕事中は疲れなんて感じない!」というのは、つまり気づいていないだけ。ひそかにワーキング・ハイになっている陰で、脳細胞はダメージを蓄積しています。
「平日と休日は、気分が違うよな」とか、「休日は、なんか気が抜ける…」と思うこと、ありませんか?それは、仕事中の脳がストレスを受けている証拠です。ただ、人の脳はストレスに遭うと、負けまいとしてドーパミンを出して頑張る性質があります。そのせいで感覚がいわばマヒして、ストレスを苦痛とは知覚しないのです。
意識されない疲労ー。「気にならないなら問題ないのでは?」、そう思ったアナタ、問題おおアリです! 「つらい」「痛い」という感覚は、「危ないから対処しろ!」という脳からの信号。それがたまたま、脳が持つもう一つの作用「ハイになることでストレスを克服する」という働きで、まぎらわされているだけなのです。「疲れた」という危険信号を受信できないまま、脳内でダメージは蓄積されていきます。
具体的に、脳内で何が起きるのか。まずは、脳のガソリンであるブドウ糖が枯渇します。なのでミスをしたり仕事の速度が落ちたりします。これを本人は、脳疲労のせいとは気づかないのが怖いところです。また、脳の酷使された部分は酸欠になります。すると脳はあくびや多呼吸によって、酸素を取り込もうと頑張りますが、本人はあくびを抑えて働き続けるので、体全体が酸欠になります。酸欠で脳が疲弊すると、体は疲れやすいだけでなく、肥満にもつながりやすいことが知られています。
疲労感なき疲労。ー「じゃあ、どうやって気づけばいいの?」「気づき力、とかが必要な訳⁉」いえいえ、意外かもしれませんが、大事なのは「自分に正直になること」なんです。「正直になる?」何も難しいことじゃありませんよ。仕事していて、「お菓子たべたい」とふと思ったら、「歩き回りたい」と感じたら、「今は仕事中だから」とか「この仕事を片づけてから」と抑え込まず、「あ、今、脳が訴えてる」と気づいてあげてください。「ほかのことがしたくなる」のは脳が「飽きた」というサイン。それこそ脳の悲鳴なのです。
そのメカニズムを説明しましょう。脳は、同じ作業の繰り返しに弱いという性質を持っています。脳のある部分だけが続けざまに使われるからです。ですので、同じことをずっとしていると、「飽きた」という信号を発します。体には、あくびや肩凝り、目の疲れといったサインが現れ、欲求としては「甘い物(ブドウ糖)を食べたい」「伸びをしたい」などが生じます。
まじめな人や仕事熱心な人は、こういうシグナルを本能的なもののように感じ、「仕事が優先」と抑え込んでしまいがち。すると脳はドーパミンを放って主をハイにし、その場を乗り切ろうとあがくのです。仕事に充実感を覚えているそこのアナタ! やりがいの陰で、アナタの脳、悲鳴をあげていませんか⁉
仕事から得られるハイテンションは、人生の活性剤ですよね! しかし人間はやはり生物、疲労を溜めていつかドカンとダメージを食らうより、「本能の声」に従って体と心をケアしましょう。「飽きた」は脳からの緊急速報、くれぐれもお見逃しないように! さて、筆者もそろそろ飽きてきたので、コーヒーを飲んで単発昼寝をいれることにします♪