「集中力」より「配分力」で脳のパフォーマンスはアップする!

みなさんは子どもの頃、勉強する際に「大切なのは集中力!」と言われてきませんでしたか? 大人になってからも、仕事に取り組む際に「集中しなきゃ」と意識してきた方は多いと思います。しかし、実はこの集中力は物事の成果にいい影響ばかりをもたらすわけではないのだそうです。理由は簡単で、集中すればするほど脳が疲労してしまうからなんです。

その代わりに注目されているのが「配分力」というキーワード。目の前にあることに集中しすぎて脳を疲れさせるのではなく、さまざまなことに注意を分散させる「配分力」こそ、これからの時代に必要な“脳パフォーマンスアップ術”のカギになるということです。

 

「配分力」ってそもそも何?

この「配分力」という言葉自体、そもそも聞き慣れないものなので、その重要性に疑問を持つ方もいるでしょう。そういう筆者もこの言葉を知りませんでしたが、配分力には多様な条件の中での行動を強いられる現代人にとって重要な意味合いがあることが理解できました。

配分力とは、シンプルに言うならば「注意を複数のことに分散させ、全体を把握する力」ということになります。自然界においても、多くの動物が目の前の獲物に集中することなく、背後から別の動物に襲われないよう意識を向けているという配分力を目にすることができます。私たち人間も、たとえば自転車に乗っているときには、信号や障害物といった目の前のものばかりではなく、背後から迫る自動車や横合いから飛び出てきそうな歩行者など、多方面に注意を向けているはずです。この配分力を鍛えることで、効果的でムダのない行動が可能になるということです。

「集中力を鍛えるべし」という金科玉条が脳を疲れさせる⁉

さまざまなことに注意を分散させる配分力を鍛えることは、自分を取り巻く状況の全体を把握しながら行動することにつながります。また、この配分力を意識することに対しては、ある意味では「注意力散漫」「集中力欠如」というマイナスイメージがあるかもしれませんが、脳の疲労が低減されるという効果もあるんです。

人間が一つのことに集中している場合、脳の一部分の神経細胞を使い続けているそうです。つまり、集中すればするほど、そしてその時間が長ければ長いほど、脳の一部を酷使し続けることになり、私たちの脳に大きな疲労を強いることになります。これまで「集中力を鍛えましょう!」と当たり前に言われてきた私たちにとっては意外な事実かもしれませんが、集中するほうが脳を疲れさせ、そのパフォーマンスを下げてしまうということ。これからは集中力の代わりに配分力を鍛えることで、常に脳を疲れやストレスのない状態に保つことを意識するべきでしょう。

 

配分力アップのコツは少しだけ注意をそらすこと

配分力を鍛えるためには、脳のワーキングメモリの能力を高めることが効果的です。その方法としては、日常のある行動をする際に何か別のことを意識するというものがあります。

たとえば、読書をする際に邪魔にならない程度の音量で好きなアーティストの音楽をかける。その場合は、本の内容をインプットしながら「この曲はこんな歌詞だったな」など、別のことに意識を向けることができます。また、ホームパーティなどで友人との会話を楽しむ際も、相手の話を聞きながら「これにつながる話題は何かないかな」と頭の片隅で考えるクセをつけることも、配分力を鍛えることにつながるはずです。

コツは、一つの行動をしながら“少しだけ注意をそらす”こと。目の前の事柄にのめり込むことを避け、何か別のことに注意を向けながら行動することで、配分力を高め、脳を疲労させることなく高いパフォーマンスを生むことができるということです。

日常の中で始められる配分力向上トレーニング

この配分力アップのためのトレーニングは、特別な場所や時間を設けることなく、日常の活動を通して行うことができるはずです。人とのコミュニケーション、趣味の時間、日々の通勤途中など、一つの行動をする際に常に何か別のことを意識することを、今日から始めてみましょう。脳への負担を分散させ、疲労から来るストレスやパフォーマンスの低下を避けることにつながるはずです。ぜひ試してみてください!

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